野生カカオで生計をよくしていきたい農家との出会い!|野生カカオ探索レポート(2026年8月)

2026年8月、エクアドル・アマゾンの原生林で野生カカオの探索の進捗を報告します! 7月は探索とヒアリングが中心でしたが、8月は大きく前進しました。訪問した3軒すべてで、探していた野生のクラレイ種を見つけることができ、そのうちの1軒では、これまで誰も採っていなかった野生カカオがまとまって残っていました。持ち主の家族は「一緒にやりたい」と言ってくれました。

見上げた野生カカオの枝葉と莢
森の中で見上げた野生カカオの枝。葉のあいだに実が下がっています(2026年8月撮影)

野生カカオ探索事業とは、エクアドル・アマゾンの原生林に自生する野生カカオを探し、キチュア族の住民が森を伐らずに現金収入を得る道をつくるための調査事業です。NPO法人ママノアマゾニアが、独立行政法人環境再生保全機構「地球環境基金」の助成を受け、現地パートナーである先住民キチュア族の農業組合WINAKとともに実施しています。

事業期間は2026年4月から2027年3月まで。これまでのレポート一覧はこちら

8月のレポート、3行まとめ

  1. 1軒の家族が持つ森で、約500本の野生カカオが見つかりました。年間およそ300kg(生の果実)、乾燥カカオ豆にしておよそ100kgの収穫が見込めます。
  2. その実はこれまで一度も売られたことがなく、森の動物が食べていました。持ち主の家族が組合との取り組みに強い興味を持ってくれました。
  3. 品種の見分け方をまとめたフォトブックを作り、訪問のたびに住民へ説明しました。7月に購入した収穫用のはしごと脚立も、引き渡しの準備を進めました。

探しているのは、クラレイ種のホワイトカカオ

7月の反省から、8月はひとつ準備をして現地へ入りました。

住民が「野生カカオ」とひとくちに言っても、実際には複数の種類がまとめて同じ名前で呼ばれています。そのなかで、商業的に価値が認められ、住民の生計の支えになり得るのはクラレイ種のホワイトカカオです。まずこれを見分けてもらう必要がありました。

そこで品種の見分け方をまとめたフォトブックを作りました。実の形、色、断面の様子を写真で並べたもので、訪問のたびに住民へ説明していきます。名前ではなく現物で判断してもらうための道具です。

野生カカオの見分け方をまとめたフォトブックを手に説明を聞く生産者
品種の見分け方をまとめたフォトブック。実の形や断面を写真で確かめてもらいます

この準備が効きました。8月に訪問した3軒すべてで、探していたクラレイ種を確認できています。

見上げないと、実が見えない

畑で育てるカカオは、人の背丈ほどの高さに仕立てます。だから手を伸ばせば実に届きます。

いっぽう森の野生カカオは、まわりの木と光を奪い合いながらまっすぐ上へ伸びるため、幹が細く、枝も実も、首を反らせないと見えない高さにあります。8月に歩いた森では、その高さに実が付いていました。

高く伸びた野生カカオの樹を見上げる調査スタッフ
樹の高さを確認する
森の高木の樹冠に実る野生カカオの莢
空を背に、樹冠に下がる実
実をつけた野生カカオの高木
実をつけた高木
原生林の高木層に伸びる野生カカオの枝
高木層まで届いた枝
森の高木層を見上げた様子
見上げた高木層
野生カカオの枝が広がる樹冠
広がる樹冠
木漏れ日の入る野生カカオの樹冠
木漏れ日の入る樹冠
野生カカオが自生する原生林の内部
野生カカオが自生する森

誰も採っていなかったカカオ

8月にいちばん大きかった発見は、これまで一度も売られたことのない野生カカオが、まとまって残っている場所が見つかったことです。

この森では、野生カカオが毎年実をつけていました。ただ、それを採る人がいませんでした。森の深いところにあるため、買いに来る人もいなかったのです。熟した実はそのまま落ちて、森の動物たちの食べものになっていました。林床には、齧られて割れた殻がいくつも積み上がっていました。

動物に食べられた野生カカオの莢が林床に集められている様子
林床に残っていた殻
動物に食べられて割れた野生カカオの莢
齧られて開いた実
割った野生カカオの莢の中身を手に取って確認する様子
中の果肉と種を確かめる
株立ちになった野生カカオの幹
株立ちになった幹

森の生きものにとっては、それが自然な姿ですし、人が全部を採る必要もありません。ただ、放っておかれた実の一部でも、木を伐らずに家計を支える収入に変えられるなら、森を残す理由が一つ増えます。

野生カカオで生計をよくしていきたい、という家族

この場所を持つ家族は、組合と一緒に取り組むことに強い興味を持ってくれました。売ることができるのなら生活の支えになるし、嬉しい。ぜひやりたい。そう言って、とても熱い協力の意思を示してくれました。

畑を広げるために森を削るのでもなく、違法な金採掘に出るのでもなく、いまある森を守りながら収入を得る。その選択肢が、はじめて具体的な話になった月です。

調査は、樹を数えるだけの作業ではありません。森の中を、その土地に暮らす人と一緒に歩きます。どの樹がいつ実をつけるか、どの道なら雨でも通れるか、そういうことを知っているのは住民です。

森の中で調査に同行する家族と調査スタッフ
森を案内してくれた家族
野生カカオの樹の前に立つ生産者と調査スタッフ
幹の前で大きさを確かめる
森の入口で調査に協力する生産者と調査スタッフ
森の入口で
野生カカオの樹の前に立つ生産者と調査スタッフ
樹を前に話を聞く
苗床の前に立つ生産者と調査スタッフ
苗床の前で
苗床で聞き取りを行う調査スタッフと生産者
聞き取りの様子
調査で歩いた森の中
一緒に森を歩く
斜面に生える野生カカオと原生林
斜面に生える野生カカオ

話を聞いた3軒の家族と、その森にあった野生カカオ

8月は3軒の家族に話を聞き、それぞれの森を一緒に歩きました。下に並べたのは、1軒ごとの野生カカオの本数と、年間の収穫見込みです。1軒あたりで見ると、持っている量に大きな差があることが分かります。

1軒目の家族約500本年間見込み 約300kgこの家族が持つ森で確認しました。今回いちばん大きな発見です
2軒目の家族約40本年間見込み 約13kg約60ヘクタールの土地に点在しています。森まで入りやすく、追跡調査の対象です
3軒目の家族1本年間見込み 約5kgいまは1本ですが、これから増やしていきたいという意向でした

1軒目の約300kgは、乾燥カカオ豆にするとおよそ100kgにあたります。収穫量はいずれも、生の果実の重さで表した見込み値です。聞き取りと現地確認にもとづく推定であり、実際の収穫量は年ごとの天候や動物の食害で変わります。次のシーズンに実際どれだけ採れたかは、あらためて記録して公開します。

「野生カカオではなかった」場所もある

8月には、調査の対象から外した場所もあります。

現地に着いて確かめたところ、地域の人が野生カカオと呼んでいた樹が、実際にはクプアスという別の品種でした。同じカカオ属の仲間で、森に生え、大きな実をつけます。名前や見た目の印象だけでは取り違えます。

ここにはないということが分かったコミュニティについては、次回訪問の予定は立てず、さらに別のコミュニティを訪問していく予定です。

はしごに、ステッカーを貼る

実が高い場所にあると分かった以上、次の課題は「どうやって採るか」です。

7月に、収穫用の伸縮はしごを購入しました。8月は、そのはしごに事業のステッカーを貼り、生産者へ引き渡す準備を進めました。助成事業で用意した道具がどこで使われているかを、あとから誰でも確認できるようにするためです。

収穫用の伸縮はしごに事業のステッカーを貼る様子
ステッカーを貼る
収穫用はしごに貼られた事業のステッカー
貼り終えたステッカー
引き渡しを待つ2台の収穫用はしご
引き渡しを待つはしご

協力してくれる生産者には高齢の方が少なくないので、木に登って採るのは危険です。はしごに加えて、高い枝を切るための道具など、現場で本当に必要なものを洗い出しています。渡すときは引き渡しの記録を残し、誰に何を届けたかを残す運用にします。

これから

9月以降は、まとまった本数が確認できた大きな森を優先して回ります。参加する家族の数を増やすことより、確実に実のなる森を先に確かめることを優先します。

それぞれの場所で、GPS地点、世帯数、樹の本数を一つずつ記録していきます。どの森にどれだけの野生カカオが残っているのかが分かってはじめて、地域の人と次の話ができます。

調査地の丘陵と熱帯林の遠景
調査地の朝
調査地の集落と赤土の丘
集落と赤土の丘
調査地の集落の広場
集落の広場

この調査を続けるために

森を歩き、樹を数え、記録を残し、道具を届ける。この活動は、みなさまからのご寄付に支えられています。

8月のように発見のある月もあれば、7月のように目に見える成果が出にくい月もあります。それでも通い続けなければ、森のどこに何が残っているのかは分かりません。継続的なご支援をお願いいたします。

現在の寄付額¥20,000
10% 達成
目標金額 ¥200,000あと¥180,000
最終更新日:2026年8月4日

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※当法人は認定NPO法人でないため寄付控除の対象にはなりません。
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よくある質問

野生カカオ探索事業とは何ですか?

エクアドル・アマゾンの原生林に自生する野生カカオを探し、キチュア族の住民が森を伐らずに現金収入を得る道をつくるための調査事業です。NPO法人ママノアマゾニアが、独立行政法人環境再生保全機構「地球環境基金」の助成を受け、現地パートナーである先住民キチュア族の農業組合WINAKとともに実施しています。事業期間は2026年4月から2027年3月までです。

2026年8月に見つかった野生カカオはどれくらいの規模ですか?

8月は3軒の家族に話を聞きました。1軒目の家族が持つ森で約500本が確認され、年間およそ300キログラム(生の果実の重さ)、乾燥カカオ豆にしておよそ100キログラムの収穫が見込めます。2軒目の家族は約60ヘクタールの土地に約40本(年間見込み約13キログラム)、3軒目の家族は1本(年間見込み約5キログラム)でした。1軒あたりで見ると持っている量に大きな差があります。いずれも聞き取りと現地確認にもとづく見込み値です。

なぜこれまで収穫されていなかったのですか?

採る人がいなかったためです。実は毎年なっていましたが、一度も売られたことがなく、熟した実は落ちて森の動物が食べていました。林床には齧られて割れた殻が積み上がっていました。

森の野生カカオの実は、どうやって採るのですか?

収穫用の伸縮はしごを使います。野生カカオは高木で、実が見上げる高さに付くためです。2026年7月に購入したはしごに8月に事業のステッカーを貼り、生産者へ引き渡す準備を進めました。高い枝を切るための道具など、必要な資材も洗い出しています。

クラレイ種とは何ですか?

この事業が探している野生カカオの品種です。ホワイトカカオとも呼ばれます。住民が「野生カカオ」と呼ぶものには複数の種類が含まれるため、8月は品種の見分け方をまとめたフォトブックを作り、訪問のたびに住民へ説明しました。訪問した3軒すべてでクラレイ種を確認できています。

クプアスと野生カカオはどう違いますか?

どちらも同じカカオ属の仲間で森に生え、大きな実をつけますが、別の品種です。8月には、地域の人が野生カカオと呼んでいた樹が実際にはクプアスだった場所があり、調査の対象から外しました。名前や見た目の印象だけでは取り違えます。